2011年5月29日日曜日

【読書メモ】ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
堤 未果
岩波書店
売り上げランキング: 1240

 この本は、小飼弾さんの書評サイトでかなり前に紹介されてます。(なんでこの本を知ったかは失念。。)

リーマンショックでアメリカ経済はガタガタという漠然とした印象しか持っていなかったけど、この本を読んで(大)ショック。

 アメリカでは盲腸の入院費用が一日243万円って。。。愕然です。貧困で体が細いイメージですが、アメリカでは貧困は、肥満になること。ジャンクフードを見る目が変わる。。。

 一番ショックだったのは、日帰り出産!出産してその日に退院って自分では信じられない。理由は、入院費用が払えないから。なんとも。。。。ちなみに、アメリカは先進国中、乳幼児の死亡率が最も高い国です。このデータもちょっとびっくりだ。もうアメリカは世界のアメリカなんて言ってる場合じゃないってことなのかな。

 貧困のために、軍に入隊ってのもある。これがアメリカであるってのが驚き。貧困とは直接関係無いけど、コンピューターゲームも軍への勧誘を担ってる。そういや、携帯端末の位置情報を強制的に記録してたな。多分これもそうかな。

 資本主義の原理を何でも適用すればいいというわけではないということをアメリカが証明したような気がします。

【読書メモ】ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)
リチャード P. ファインマン
岩波書店
売り上げランキング: 7575

 成毛さんが強力にプッシュした科学読物。そしてこのメモを書いているときにふと松嶋正剛氏の書評サイトをみると、氏も「読むべき」と念を押している。著名な書評家にも好評のよう。

 そして、ワタクシはすでに上巻を読了。この手の本は苦手で途中で投げ出さないかと思ったけど、面白い。読んでいて電車の中で吹き出しそうになりました。ただ、下巻はどうかな。。。。厚さもそこそこあるしと思ったけど、杞憂。読みだすとやっぱり面白くてあっという間に読んでしまった。(個人的に、上巻同様、岩波文庫の紙の感触をすごく気に入っている)


 

【読書メモ】統計数字を読み解くセンス―当確はなぜすぐにわかるのか?(DOJIN選書27)


 この本は、小飼弾さんの書評サイトで紹介された本。統計学の本はダレル・ハフの「統計でウソを付く方法」(リンク併記)を学生の時に読んで以来だなと。

 「相関関係がある」とグラフを見せられ、あたかも示された内容が原因かのように示される。でも、「相関関係」と「因果関係」は違う。そもそもそのグラフのデータはどのように取得したのか。もともと偏ってない? 安易に信じずに疑うことに気づく。もちろん、これ以外にもいろいろ。

 でも、この手の本は面白そうなんだけど、自分自身まだ消化しきれなかった。いや、単純に数式が苦手なだけです。もう少しこの手の本を読んでみようと思いました。

「統計で嘘をつく方法」

統計でウソをつく法 (ブルーバックス)
ダレル・ハフ
講談社
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【ちょっと休憩】なんか最近メモの文体が固いな・・・

 この読書、三日坊主で終わるかと思った読書メモですが、本人もびっくり、意外と続いております。ここで、簡単に振り返ってみたいと思います。あっ、これもすべて、自分に向けたメモです。軽く読み流してください。^^;

《ざっくばらんで礼儀が感じられる文章を目指す》
 ふと、過去の「読書メモ」を見返していみると結構ちゃんと書いているなぁと思う反面、不自然な敬語体だったりして文章のスタイルがブレてる^^;

 当初は、肩の力を抜いた、感想をボソボソと書いていました。個人的に気に入っている文章は、変に敬語を使い過ぎない程度にざっくばらんな文体で、それでもって礼儀が感じられる文章。自然に読めて、読んでて心地の良い文章、そんなのを書くように心がけております。(なかなか難しい。。。)

 で、最近の本のメモ。文面の書式に凝り過ぎるあまり読んでて面白くないなと(笑)。メモなのに3時間もかけてるものもあって、そういうものは、あとで読み返しても本当に面白く無い。このあたりは反省です、

《本を知ったきっかけを書いておこう》
 あと、読んだ本をどのような経緯で知ったかということの記述が抜けてるなと最近感じています。基本的に僕の読む本は、成毛さんの書評なんですが、最近は、小飼弾さんや森山和道さんの書評の本もなかなか面白そうなのがあって、すでに何冊か購入しました。書評を参考にさせてもらっている諸氏は、なぜその本を気に入ったのか、どうして買ったのかといったこともしっかり書いてあったような。そのあたり、自分ももう少し書いてみたらいいかなと思いました。後で振り返ったときに「なんでこの本読んだんだっけ?」と言う事にならないように。(すでにそうなっているもの何冊か。。。)

《誤字脱字が意外と醜い》
 自分の書いた文章を読んで、意外と肝心なところで変な誤字を見つけると凹みます。すでに何箇所かみつけてるのでこれから直そうと思いますが。。。気をつけよう。

《ブログに追記する場合はどうすればいいか》
 上記みたいに、ひと通り記事を書いた後で、書くことを追記したい場合って、新たに記事を起こすか、元の記事にそのまま追記するか、なんか悩みます。

2011年5月22日日曜日

【読書メモ】水を科学する

水を科学する
水を科学する
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川瀬義矩
東京電機大学出版局
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 この本は、身近な「水」について触れた本で、正直、漠然としすぎて、書店で手にとったときは、どんなことが書かれているのか不安半分、期待半分。正直、難しかった(泣)

 軟水やら硬水といったことについて触れていることは予想どおり。「波動水」やπウォーターなんかも「機能水」というくくりで触れてますが、こちらは科学的根拠が不明とのこと。なるほど。洋服の汚れがなぜ落ちるのかとか、光触媒とか面白そうな話題にも触れてます。ただ、説明にある化学式とかもう少し噛み砕いて欲しかったなぁ。初心者としては。

 海洋資源に発展してメタンファイトレードにも触れてますが、こちらも、化学式が当たり前のように登場しますが、ある程度の知識がないとちょっと辛い。図、表もふんだんに掲載されてますが、それらについての解説がだいぶ省略されてるのでちょっと自分のような化学初心者には難しい。

 

【読書メモ】知っておきたいエネルギーの基礎知識 光・電気・火力・水力から原子力まで各種エネルギーを徹底解説! (サイエンス・アイ新書)


 この本は、以前読んだ「知っておきたい太陽電池の基礎知識 シリコンの次にくるのは化合物太陽電池?有機太陽電池でみんなが買える価格に? (サイエンス・アイ新書)」と同じ著者 齋藤勝裕氏によるもの。「太陽電池の〜」が周期表も交えて原子・電子の基礎の基礎からじっくり説明していたのですが、この本は、化学式がいきなり出てきたり、やや難しかった^^;

【読書メモ】メタルカラーの時代〈2〉 (小学館文庫)

メタルカラーの時代〈2〉 (小学館文庫)
山根 一眞
小学館
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 この本は、1993年に出版された最初のハードカバー版の3分割された文庫版のうちの一つ。説明が難しいけれども、身近にある工業製品の開発者が語る苦労話とでも言うべきか。

 僕はこの本を小飼弾氏の書評で知った。ちょうど、東日本地震の後、電力不足が叫ばれ、関西から関東に電気を送電したらいいのにというTwitterでのツブヤキに、氏がそう簡単にいかない事情がある。ということで本書を薦めていた。

 内容は今から20年近く昔の本だけど、いろいろな苦労話は読んでいるだけで面白い。僕が特に興味を持ったのは、東京都庁周辺にある東京ガスの施設にはジェット機のエンジンを使った発電機があること。ジェットエンジンをジェネレータとして利用する。日銀の金庫を爆破する話も金庫を作る側の話と合わせて収録されていて絶対に爆破できる側と絶対に破れない側との主張のぶつかり合いが楽しい。東京ドーム建設の話では、その素材の由来がおもしろい。これは、第二次世界大戦時のレーダードーム技術の延長線にあることなど。ここでも軍事技術がでてきた。

2011年5月15日日曜日

【読書メモ】チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る

チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る
大河内 直彦
岩波書店
売り上げランキング: 4812

 本屋でこの本を見つけて、「えっ。。こんな厚い本なのか」ってぐらい面食らいました。しかも出版社はあの岩波書店。しかし、内容はとても読み応えがあって、しかも分かりやすく、読んでいておもしろい。

 この本は、多くの研究事例を紹介しながら気候変動の原因をたどっていく。地球の自転軸、公転軌道と太陽の関係から、年代測定の方法としての酸素同位体温度計、放射性炭素年代法。。。。そして、海洋深層水にふれていく。内容は盛り沢山ですが、楽しい。僕のような読書初心者でも、どんどん読み進められる。

 放射性炭素年代法ではマンハッタン計画に触れている。ちょうど、「日本は原子爆弾をつくれるのか」を並行して読んでいたので、原子・電子の知識はここでも重要だなと認識した次第。

 温暖化という言葉を聞いて二酸化炭素が原因だなと漠然としか浮かばなかったけど、この本を読むといろいろな要因が絡んで、問題はそんな単純じゃないことがわかります。



 

【読書メモ】日本は原子爆弾をつくれるのか (PHP新書)

日本は原子爆弾をつくれるのか (PHP新書)
山田 克哉
PHP研究所
売り上げランキング: 251510

 ちょうど、二ヶ月前に震災があり、この記事を書いている今は、福岡第一原子力発電所の放射能漏れが大変なことになっている状況です。メディアでも原発の放射能被害について頻繁に報道されています。(ちょうど、被害がレベル7になった)

 そんな中、本書は、2009年2月に成毛氏の書評で一度取り上げられ、再度取り上げられたもの。日本が、原子爆弾を作成できるのかというタイトルだが、原子力発電とは?、原子力発電とは?、放射能とは?といったことがひと通り書かれてます。

 「軽水炉」とか「ウラン235」と「ウラン238」とか「遠心分離機」とかニュースで聞いたことのある単語が出てきますが、それらがどういうもので、原子爆弾作成にどのように関連するのかがわかります。

 ここで以前書いた「知っておきたい太陽電池の基礎知識〜」で、原子、電子の基礎の基礎を読んでいたのですが、読んでてよかった。(^^ゞ ここで読んだ知識がとても役に立ちました。ウラン、プロトニウムそして、アルファ崩壊、ベータ崩壊など、もう電子・原子の知識の復習。

 広島、長崎に投下された原子爆弾。それの製造計画:「マンハッタン計画」。これについての記述を読むと、アメリカの傾注ぶりの凄さがわかるとともに、アメリカはその研究成果を確認するため、先の大戦ではなんとしても原爆を投下したかったんじゃないのかなと、感じてしまう。

 じゃ、日本は原子爆弾を作れるのか?技術的には可能だが、相当困難。法律、国民感情を踏まえると、無理でしょうというのが僕の感想。まず、開発のための予算が通らないんじゃないでしょうか。

【読書メモ】「江戸前」の魚はなぜ美味しいのか (祥伝社新書199)

「江戸前」の魚はなぜ美味しいのか (祥伝社新書199)
藤井 克彦
祥伝社
売り上げランキング: 335250

 この本は、東京、深川生まれの著者が「江戸前」について、地域としての「江戸前」の定義と地理的特性、そして、そこで取れるお魚の美味しい食べ方(!)を述べている。

 自分も「江戸前」についてかなり曖昧なまま理解していたなとこの本を読んで思いました。

 著者は、歴史書や、聞き取り調査により、「江戸前」と呼ばれる地域が、「東京都内湾」と言われる地域を指し、多摩川河口洲から江戸川河口を結んだ内湾であるという結論に行き着く。そこは、多摩川、隅田川、荒川、中川、江戸川と多くの河川が流れこみ、豊かな漁場であり、日本でもこれだけの河川が流れこむ場所はここだけと指摘する。

 ところが、水産庁は、「江戸前」の定義を東京湾全体を指すよう見直した。水産庁の魚介類産地表示方法は「水揚げ港主義」。本来の「江戸前」は埋立で潰してしまったから、東京湾全体に定義し直せば、東京湾で撮れたお魚はすべて「江戸前」として産地表示できる(!)

 後半を読むと、何故か僕は、うなぎが食べたくなりました。。。

2011年5月8日日曜日

【読書メモ】選択の科学

選択の科学
選択の科学
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シーナ・アイエンガー
文藝春秋
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 厚さにビビってましたが(笑)、とても読みやすく、内容も納得の一冊。「選択」を自分で行った場合、他人に委ねた場合とでの満足感等、いろいろな観点で調査した結果について述べられている。選択肢が多いと購入率が下がるという有名な「ジャムの研究」についても触れられている。

 その他に印象的だったものを抜粋すると、
 九つの宗教(原理主義、保守主義、自由主義)の信者へのインタービューを行ったところ、多くの日常的な規則を課す原理主義に分類された宗教の信徒は他の宗教の信徒よりも宗教により大きな希望を求め、逆境により楽観的に向き合い、うつ病にかかっている割合も低かった。
 →制約は必ずしも自己決定感を損なわず、思考と行動の自由は必ずしも自己決定感を高めるわけではない。

 日米のそれぞれ100人の大学生に自分が決めたいこと、決めたくないことをたずねたところ、アメリカ人は日本人に比べ様々な事柄を自らの意志で決めたいと思う傾向が強い。逆に日本人はアメリカ人よりも決めたくないと挙げた項目の数がアメリカ人よりも多い。
 →文化的背景は選択を行う方法にも影響を及ぼす。

 自分は周囲の人とどのくらい似ているところがあるか?という質問に「それほどない」という答えが多いが、周りの人達は、あなたとどれくらい似たところがあるか?という質問には類似点が多く上がる傾向となる。
 →人はその他大勢と区別されるほどは特殊でいて、定義可能な集団には属していたい。

 バイアスに左右されない選択をするには、熟慮システムを通じて、ヒューリスティック(経験則)を利用または誤用した経験を一つひとつ検証し、分類する。自分がなぜ特定の選択に到達したかを自問自答する。
 →より良い選択をするには

 神話学者「ルイス・ハイド」:値踏みする者は、値段をつける対象から距離を置かなければならない。
 →選択が人に悪影響をおよぼすことがある。それらを避けるには、選択のプロセスを自分に有利に変えること。具体的には、冷静な判断ができないときは他人に選択を委ねるなど。


 

2011年5月3日火曜日

【読書メモ】ペニシリンはクシャミが生んだ大発見―医学おもしろ物語25話 (平凡社新書)


 この本は、amazonにも、近所の大型書店にも在庫がなくて入手に苦労しました。やっとこさ入手。

タイトルは「ペニシリンは〜」となっていますが、これは収録された25話の医学エピソードのうちの一つで、全部で25話の医学史が収録されています。どれも今では名を聞いたことがあるものばかり。

 定期健診で行う色覚検査の表は、日本人によるもので、世界中で使われているものなんですね。以外!

 この本を読んで思ったのは、いつの時代も革新的な発見には必ず周囲のやっかみがあって、周知させるためにかなりの困難があるということ。医学会ってところは自分が想像していた以上に保守的なんだなという印象を受けました。

【読書メモ】知っておきたい太陽電池の基礎知識 シリコンの次にくるのは化合物太陽電池?有機太陽電池でみんなが買える価格に? (サイエンス・アイ新書)


 東日本地震で、注目をあつめている(と思われる)太陽電池。自分も、気になっていたので、読んでみた。

 なるほど、シリコン自体は、資源として豊富にあるけれども、太陽電池に使用するシリコンは純度99.999999999(11個=イレブンナイン)でなければならないわけです。そして、そのようなシリコンに加工するには大量の電気エネルギーが必要になる。

 この本では、まず電気についてが述べられている。原子、電子について丁寧に書かれており、昔習った、周期表もでてくる。そして、不純半導体(n型、p型)。これがすべての基本。そしてここからなぜシリコンなのか、シリコン以外の材料を使った太陽電池へ展開する。

 これを読み終わった後に、なんでもっと太陽電池を普及させないんだと思っていた自分が恥ずかしくなりました。いろいろな問題(純度の高いシリコンを作るために大量の電気が必要だとか、代替材料による太陽電池も、レアメタルが必要になるとか。。。)があるわけです。今すぐに太陽電池を普及というのは難しいのかなというのが僕の感想。