2011年4月10日日曜日

【読書メモ】昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ (新潮選書)

昆虫未来学―「四億年の知恵」に学ぶ (新潮選書)
藤崎 憲治
新潮社
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本書は昆虫の生態、害虫としての昆虫と人類の取り組み、そして昆虫の仕組みに学ぶ科学的なアプローチについて論じている。

 最初の昆虫についての詳細な説明は僕には正直難しかった。

 害虫としての昆虫にどう向かい合うか、についてはとても興味深い内容。最初は強力な殺虫剤で駆除。しかし、これでは環境そのものへの影響や、同時に害虫の敵対する昆虫も殺してしまい、かえって害虫が異常繁殖してしまう結果になるなど、このあたりを呼んでいるとまるで複雑なパズルのようです。

 そして、殺虫剤から今度は害虫を駆除する天敵の昆虫を導入することによる駆除へ。ただ、農薬を全く使用しないことは不可能なので、あわせて、有機農法による減農薬栽培への取り組み。しかし、昆虫は環境と共に複雑に関係が絡んでいるので、結局必要なのは生物多様性で、そして、それらを育む豊かな自然が必要。。。。むむ、結局は自然を保全しなければ大変であることに行き着く。

 後半の昆虫の仕組みに学ぶアプローチは、比較的身近な例もあって読みやすい内容。反射鏡は猫の目の仕組みから、光の反射具合によって色が変わる塗装はチョウチョの羽からなどは聞いたことがあるのでは。

 個人的に読んでいておっと思ったことは、スズメバチ由来のアミノ酸から脂肪燃焼を促進するスポーツドリンクが開発されたことや、蜘蛛の糸は、同じ太さの鋼鉄の5倍、やケブラー繊維(防弾チョッキに使われるあれ)にも匹敵するとのこと。これはすごい。他にも、新幹線の風切り音低減に、フクロウの羽根の形状やカワセミ(これは昆虫ではないけど)のくちばし形状などが参考にされている。

 まだまだ昆虫には解明出来ていないことがあるそうなので、今後の様々な分野への応用には期待”大”でしょうか。

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