2011年8月21日日曜日

【読書メモ】「人工冬眠」への挑戦 (ブルーバックス)

「人工冬眠」への挑戦 (ブルーバックス)
市瀬 史
講談社
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 こちらは森山和道氏のブログから。
 冬眠のメカニズムについて、熊とリスのメカニズムに触れて、最終的に人間への応用の可能性についての現状を探る。とても読んでいて面白い本だった。個人的に熊の冬眠メカニズムはとても興味深い内容だった。

 冬眠前にたくさん食べて脂肪として栄養を蓄えるのは何となく分かる。熊のすごいのは、冬眠中に子供を産んで子育てをすること。そして、冬眠明けでもほとんど筋肉の萎縮と骨の劣化がないこと。
 人間の場合は、長いこと寝ていると使わない筋力は急速に衰えてしまう。また、空腹が続くと脂肪からの栄養摂取、筋肉、そして、最終的に骨から摂取することになるから、筋力は衰え、骨がもろくなる。だから冬眠はなかなか難しい。
 しかし、冬眠中の熊は、タンパク質の最終代謝物である尿素を膀胱から再吸収して分解することができる。そして、尿素に含まれる窒素と脂肪代謝物の副産物であるグリセロールからアミノ酸を作り、タンパク質にリサイクするすることができる。だから、筋肉の萎縮も防ぐことができる。
 また、骨も破骨細胞の働きで血中に溶け出したカルシウムから骨芽細胞によって骨を作成することができる。だから、冬眠中も骨が弱くなってしまうことはないのです。すごいな熊。

 人間が冬眠できれば、寿命も伸びるし、比較的長く若い肉体を得られるかもしれない。しかし、一時的に代謝を停止(ハイバネーション状態)からの復活時にはいろいろな課題もあって一筋縄ではいかないようです。このあたりは「睡眠」の問題とも絡むらしい。確かに過去の読んだ睡眠に関する本にも、睡眠というメカニズム事態がまだ完全に解明されていないとあったから、こりゃ当面実現は難しそうだなぁと読んでて実感。
 2001年宇宙の旅で出てきた人工冬眠が実現するのは。。。やっぱり難しそうだ。

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